お疲れ様でした。

「お疲れ様でした」


最近この言葉をめちゃくちゃかけられる。
クロスオーバーは終わった訳では無く、あくまでタダの引越しな訳だが、やはり今のご時世と5年間というキリの良さでみんななんとなく、大きなフェーズの終わりを感じてるんだと思う。(言葉をかけてくれた人はありがとうございます。普通に嬉しいです。)


5年、5年がたった。


右も左もわからん試行錯誤の末の5年だ。
我ながらよく生き残れたと思う。
色んな事が、それまでの人生からは考えられないくらいの冗談みたいな事が沢山起きた。
映画「シビルウォー」でドンチードルが「アイアンマンの登場から世界は変わった」みたいなセリフを言うシーンがあったが、オレはメタ的な意味では世界でも屈指のレベルでアイアンマンに人生を変えられた人間だと思う。
人生変えられたランキングがあるとするなら、ダウニーJr.が1位、スタンリーが5位、ロミータが30位くらいなら多分世界ランキング2000位くらいだ。

MCUは12年で喧嘩相手が中東のゲリラから宇宙からやってきた大軍団となり、ホットなスチュワーデス満載の自家用ジェットに乗っていた倫理観に欠けた経営者が凛とした顔でタイムマシンに乗り込み世界を救うヒーローとなる激動の大河ドラマな訳だが、人生の代わりようなら俺の5年間も負けていない。


日本中の映画、コミックファンに会えた。あんなに熱く語ってる人間を沢山観るのは初めてだったから最初は仕事そっちのけで話に入っていた。

お客さん主体のコミック講談や英会話教室、お絵かき教室なんかもあった。みんなでワイワイするのに慣れてなくて最初はむず痒かったが、こんな楽しみもあるのかと衝撃だった。


大好きな漫画家に、最高の技術を持つアメコミアーティストに両手の指では足りないくらい会えて、さらにイベントも組めた。
一回感極まって泣いてしまい、そのままギャラを渡しそびれそうになった事がある。失態だ。

大好きなコミックスの翻訳家にたくさん会えた、東京まで行って一緒にイベントまで出来た。ヴァレリアンは本当によかった。会社が潰れたのはヴァレリアンとはきっと関係ない。

大好きな洋画感想ブログ書いてる奴らに会えた。いつも言いがかりみたいな笑える記事を書くその2人組はリアルで会うとネットより10倍面白かった。
自分たちのファンは社会不適合のオッサンばかりだと嘆いていたが、こないだ女の子のお客さんがファンって言ってたんで今度伝えようと思う。

子供の頃夢中で遊んだゲームのクリエイターに会えた。
色々やったけど今でもこれが一番現実感無い。
「スト2の生みの親が自分の店を訪ねる」なんてとんでもない事態をアラフォーの日本人が想像出来るか?
エンドゲームとは関係なく「タイムマシンに乗って過去の自分に伝えてやりたい」という例えがオタクコミュニティではよく用いられるが、オレにはこの表現は不可能だ、だってまだ信じられねーもん。
そしてオレがこんな店やる大きなキッカケになるタイトルを手掛けた翻訳家の方とは未だに定期的な交流をさせてもらってる。
(今後とも宜しくお願いします。)

フランクミラーに会えた。

フランクミラーに貴方のファンだと伝えられた。

肩をいかられて、睨みつけるように同席の寺田克也氏の絵を見つめるフランクミラーを真横で見れた。最高にカッコいいヒトだった。

あと、あの映画雑誌のライターとか、めちゃくちゃカッコいいラッパーとかゲッターロボ のフィギュア作ってるあの造形師とか、某ラジオでお馴染みのDJとか、ビックバンセオリーの声優とか(コレは友人の仕切りのイベントだった)、インチキ玩具コレクターとか、あげていくとキリが無い。この辺でやめよう。

取り止めがなくなってしまったが、オレが言いたいのは自慢とかでは無く、なんか、ホントこんな色々やってんのに全然儲かりませんねという事と、泣きたくなるくらい感謝したい5年間だったという事だ。


この5年を支えてくれたのは他ならぬスタッフと当たり前だがお客様だ。

本当にありがとう。

マジでそう思ってる。
色々あるが来てくれたお客さんは概ね大好きだ。愛してると言っても過言では無い。

正直言うと良くない別れ方をした人間もまあまあいるんだが、オレと離れたから死ぬ訳じゃないし、みんな好きに生きれば良いと思う。マジでみんな幸せになってくれ。




(ここから更にウザいくらいの自分語りになるんだが、暇な奴は読んでくれ。)

クロスオーバーを開ける前、まだ徳永ラウェイじゃなかった頃のオレの人生は、正直イマイチ芳しく無かった。

趣味はあったしそれなりに楽しくやってた。

羽振りは今より全然よかったし、美味いメシも高い服も買えてた。
それでもイマイチだったのは、オタク話しできる仲間が一切いなかったからだ。

「アベンジャーズ」を観た頃のオレはまだサラリーマンだった。
アベンジャーズはデカいスクリーンとか、なんとかサウンドとか特になんもないイオンの映画館で仕事帰りに観た。

内容は大満足で最高に楽しかったし、エンドロールの最後にゲームのラスボスとしてよく知っていたサノスが出た時は本当に驚いたが、それと同時にオレはたいへん途方にくれていた。

それは別にこれからの壮大なマーベルユニバースを予見したからとかでは無く、サノスが地球に攻めてくる映画が観れるまでまともに生きてる自信が無かったからだ。

本当に当時はゴリゴリに働いていた。
会社での人間関係は良好で金はそこそこ貰ってたし体力もまだあったので、それなりではあったんだが、「このままクタクタでたまに映画館行って漫画よんで酒飲むだけで終わるのか」という不安‥というか不満に包まれていた。
「たぶんアベンジャーズの続編でサノスは出るんだろうな‥その頃オレなにしてんだろ‥」
そう思いながらコンビニの店員(その時の職場がパチンコか車か風俗かアニメしか興味ないハードコアブルーカラーズだったので、その時のオレが唯一映画話できるヤツだった)と、軽くアベンジャーズの話をして酒買って帰ったのをまだ覚えている。
その店員はアクション映画嫌いだったので、「あんなCGばかりの映画面白がるのヤバイぜ」みたいな事を言ってた。(今Twitterで言ったら大惨事だがSNSやらない映画ファンなんて沢山いるし、オレは今でもこの店員とのやり取りは良い思い出だ。)

チャリを漕いで田舎の夜道を走り、狭い社宅に帰ってアベンジャーズの事を考えながらコンビニで買ってきた晩飯を食ったあとに飲む酒はとんでもなく不味かった。

本当に不味かった。

今でもあの宇宙のどっかの星でスクリーンに振り返るサノスの顔を見るとあの不味い酒を思い出す。


酒が不味かった理由はハッキリしていた。

趣味の合う話し相手がいなかったから、未来に希望が持てなかったから、自分の人生を愛せていなかったからだ。

このままでは嫌だと僅かなキッカケを頼りに店を開けた。

上手く行くかなんかどーでも良かった。

店を開けるモチベーションは本当に利己的でスマンが「このまま終われるか」の一択だ。
(脱サラの件でとある常連に咎められた事があった。その時はムッとして「帰りにコイツ財布とか落とさないかな」とか思ったけど、今思えばまーそりゃそうだって感じだな。)

そりゃそうだって感じで上手くいったかというとアレな訳なのでこの判断は正しかったかは今なおわからないが、決定的な肯定材料として俺は今は本当に毎日が楽しい。

アホみたいだが本当に毎日が楽しい。

楽しいお客さんと友人がいて、スタッフがいて、先の楽しみが沢山ある。

毎日美味い酒が飲めてる。

コロナでアタマ抱えてる今でもだ。

願わくば、これからもそうだと嬉しい。

そして願わくば、エンドクレジットのオマケ観て未来を悲観してクヨクヨしている、今このブログ読んでるそこのアンタが、少しは自分の人生をマシだと思ってくれるような場所にクロスオーバーがなってくれたら嬉しい。

とってつけたようなシメだがマジでそう思ってる。

脱サラしろって意味じゃない、変われるチャンスに飛び付ける生き方をしてほしい。

仲間を見つけてくれても、お前らこんなものかと周りを全員蹴散らしてくれてもいい。

美味い酒の飲める納得のいく、愛せる人生を歩んでほしい。

ネクストフェーズはアメリカ村だ。
オレは元々関西の人間じゃないから知らんが昔はアメコミ屋がけっこうあったらしい。
どんな感じになるか楽しみだ。


これからも、気が向いたら宜しくお願いします。

徳永ラウェイ 

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